和歌と俳句

菖蒲湯

旅の夜の菖蒲湯ぬるき宿りかな 虚子

風呂の隅に菖蒲かたよせる女哉 子規

菖蒲湯や彼の蘭湯に浴すとふ 虚子

湯に入るや湯満ちて菖蒲あふれこす 子規

湯菖蒲の細葉結びぬ前髪に 淡路女

我入れば暫し菖蒲湯あふれやまず 虚子

菖蒲湯やなみなみとしてあごの下 草城

菖蒲湯や芳芬鼻を衝くばかり 草城

菖蒲湯や黒髪濡れて湯気の中 草城

菖蒲湯を出てかんばしき女かな 草城

菖蒲湯の熱かりけるをめでにけり 石鼎

菖蒲湯に妻をあはれむ心かな 石鼎

みちのくに来て菖蒲湯のありがたや 石鼎

菖蒲湯や眉落としたく思ひもす 淡路女

湯を出るや菖蒲かざして母も娘も 淡路女

菖蒲湯をたのしみ行きぬ町住ひ 淡路女

菖蒲湯の香の染みし手の厨ごと 

菖蒲湯のあけてありたる湯殿の戸 万太郎

沸きし湯に切先青き菖蒲かな 汀女

菖蒲湯を拭きもあへず出づ子等と 汀女

幸さながら青年の尻菖蒲湯に 不死男

友とあり五日六日の菖蒲湯に 草田男

菖蒲湯に深く老躯を沈めけり 風生

これ以上痩せられぬ菖蒲湯に沈む 草城

菖蒲湯に生きよ生きよと友と濡れ 静塔

菖蒲湯の湯が顎打てり妻入りきて 波郷

浸りつつたゆたふ齢菖蒲風呂 爽雨