一たばの牡丹の柴を卸しけり
大いなる牡丹の粗朶を燃やしけり
年々や牡丹の柴木小屋一杯
牡丹柴掃き浄めたる土の上
地に見つむ牡丹の燠に浄土かな
牡丹粗朶月の大地に影置きけり
十能に掬ひし牡丹供養の火
十能に牡丹の燠を運びけり
一本の牡丹の粗朶の火ぞ聖し
牡丹粗朶大地の上に燃えにけり
消えゆきし牡丹の燠を掃きとりし
消え残る牡丹の燠やいつまでも
もえつきし牡丹の粗朶に人よれる
牡丹供養の虚空に開く焔かな
牡丹供養の焔よりたつ麝馨かな
石獅子の月に牡丹の供養かな
立ち罩むる香ぞ牡丹の燠のあと
鶺鴒の雨にしば啼く牡丹かな
黄鶺鴒牡丹の地を歩きけり
葉桜の月に笛吹く畳かな
葉桜に明るき月の見えにけり
葉桜に番内簓鳴らしけり
葉桜に番内の面真赤なる
菖蒲湯の熱かりけるをめでにけり
菖蒲湯に妻をあはれむ心かな