和歌と俳句

原 石鼎

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一たばの牡丹の柴を卸しけり

大いなる牡丹の粗朶を燃やしけり

年々や牡丹の柴木小屋一杯

牡丹柴掃き浄めたる土の上

地に見つむ牡丹の燠に浄土かな

牡丹粗朶月の大地に影置きけり

十能に掬ひし牡丹供養の火

十能に牡丹の燠を運びけり

一本の牡丹の粗朶の火ぞ聖し

牡丹粗朶大地の上に燃えにけり

消えゆきし牡丹の燠を掃きとりし

消え残る牡丹の燠やいつまでも

もえつきし牡丹の粗朶に人よれる

牡丹供養の虚空に開く焔かな

牡丹供養の焔よりたつ麝馨かな

石獅子の月に牡丹の供養かな

立ち罩むる香ぞ牡丹の燠のあと

鶺鴒の雨にしば啼く牡丹かな

黄鶺鴒牡丹の地を歩きけり

葉桜の月に笛吹く畳かな

葉桜に明るき月の見えにけり

葉桜に番内簓鳴らしけり

葉桜に番内の面真赤なる

菖蒲湯の熱かりけるをめでにけり

菖蒲湯に妻をあはれむ心かな