和歌と俳句

団扇 うちわ

仏壇に尻を向けたる団扇かな 漱石

くらがりに団扇の音や古槐 漱石

絹団扇墨画の竹をかかんかな 漱石

筆筒に団扇さしたる机かな 碧梧桐

古団扇涙の迹を見らるるな 子規

夕歩き宿の団扇を背にして 虚子

古家にもの新らしき団扇かな 虚子

山寺にうき世の団扇見ゆるかな 虚子

君来ねば柱にかけし団扇かな 鬼城

手すさびによごす団扇の緋房かな 淡路女

四季の句のことに水色うちはかな 久女

蚊帳の中団扇しきりに動きけり 久女

団扇はさみて父の歩みの老いたりし みどり女

美人繪の団扇持ちたる老師かな 虚子

役者繪の団扇尚ある伯母の宿 虚子

夜まどゐや五色団扇の我は青 爽雨

白団扇一つ西日に置き放し 草城

嬌羞や団扇を洩れて蛾眉二つ 草城