わくらばの梢あやまつ林檎かな 蕪村
病葉や大地に何の病ある 虚子
病葉にたまれば太し雨雫 石鼎
病葉の散るとてかへる山家かな 普羅
わくらばやぶらぶら病いつまでも 草城
病葉や隣の森の公使館 橙黄子
病葉や十字架胸に清教徒 橙黄子
病葉や朝ごと替ふる手水鉢 櫻坡子
病葉の落つや今年も早半ば 淡路女
吹きまろぶ病葉あそぶ檜皮屋根 青畝
病葉をむぐりたゞよふ洩れ日かな 爽雨
病葉の宿とはなりぬ軒すだれ 淡路女
病葉や石にも地にも去年のやう 普羅
雨のごと降る病葉の館かな 久女
病葉をおとしおとして梅古木 青邨
病葉のほそきが落つる早さかな 青畝
箱庭に病葉落ちて大いなり 風生
椎わくらば掃けばこぼるる時をなみ 鴻村
山深み拾ふ病葉手にはせる 野風呂
傷兵に街はことなし病葉など 楸邨
病葉や荊棘の道他ならざる 友二
病葉の歯朶にあたりて落ちにけり 杞陽
地におちてひびきいちどのわくらばよ 不死男
病むひとのわくらばを手にしたるかな 草城
わくら葉をゆびにひろへり長やまひ 草城
日蝕し病葉落つるしきりなり 虚子
病葉の黄にちり朱に散りかかり 爽雨
病葉や銃後てふ語の仮睡めく 不死男
病葉や芭蕉は道の花摘まず 静塔
病葉のひとつの音の前後かな 青畝