からし酢や鼻に夏なきところてん 才麿
鑓持や舶呼かけてところてん 涼菟
ところてん逆しまに銀河三千尺 蕪村
心太手自にせんとおぼしめす 蕪村
水の中へ銭遣リけらし心太 太祇
もとの水にあらぬしかけや心太 太祇
君めして突せられけりこゝろぶと 太祇
かゝる日や今年も一度心太 太祇
旅人や山に腰かけて心太 一茶
一尺の滝も凉しや心太 一茶
軒下の拵へ瀧や心太
あさら井や小魚と遊ぶ心太 一茶
茶屋ありや山辺の水の心太 子規
山風や桶浅く心太動く 子規
槽底に魚あり沈む心太 漱石
先づ食うて先づ去る僧や心太 虚子
長橋を降りかくす雨や心太 虚子
心太清水の中にちゞみけり 放哉
旅中頑健飯の代りに心太 虚子
一行皆草苞置きぬ心太 碧梧桐
心太に月上りたる戸口かな 碧梧桐
球を吐く水からくりや心太 鬼城
ところてん煙のごとく沈みをり 草城
帷子の腋背涼しところてん 草城
心太すする漢の真顔かな 草城
心太喰うて涼しきのんどかな 草城
水無月の落葉するなり心太 草城
心太うす味もちて啜らるる 草城
噴井戸を店に持つかな心太 喜舟
山からあふれる水の底にはところてん 山頭火
ところてん墨東奇譚また読まむ 三鬼
心太ふとあさましや宮ほとり 槐太
心太啜りアイスクリーム舐め 万太郎