麦の穂を便りにつかむ別かな
目にかかる時やことさら五月富士
どむみりとあふちや雨の花曇
鶯や竹の子藪に老を鳴
するが地や花橘も茶の匂ひ
さみだれや蚕煩ふ桑の畑
ちさはまだ青ばながらになすび汁
世を旅に代かく小田の行もどり
涼しさを飛騨の工が指図かな
水鶏啼くと人のいへばや佐屋泊
涼しさや直に野松の枝の形
柴附し馬のもどりや田植樽
柳小折片荷は涼し初真瓜
清滝や波に散込青松葉
すずしさを絵にうつしけり嵯峨の竹
夕顔に干瓢むいて遊けり
朝露によごれて涼し瓜の土
瓜の皮むいたところや蓮台野
松すぎをほめてや風のかほる音
飯あふぐかかが馳走や夕涼
夏の夜や崩て明し冷し物
秋ちかき心の寄や四畳半