結ぶより早歯にひびく泉かな
あらたうと青葉若葉の日の光
ほととぎすうらみの滝のうらおもて
秣負ふひとを枝折の夏野哉
山も庭にうごきいるるや夏ざしき
木啄も庵はやぶらず夏木立
田や麦や中にも夏のほととぎす
汗の香に衣ふるはん行者堂
夏山に足駄をおがむ首途哉
野をよこに馬牽むけよ郭公
落くるやたかくの宿の郭公
湯をむすぶ誓も同じ石清水
田一枚植て立去る柳かな
西か東か先早苗にも風の音
早苗にも我色黒き日数哉
風流の初やおくの田植うた
関守の宿を水鶏にとはふもの
世の人の見付ぬ花や軒の栗
かくれ家や目だたぬ花を軒の栗
五月雨は滝降うづむみかさ哉
早苗とる手もとやむかししのぶ摺
笈も太刀も五月にかざれ帋幟
弁慶が笈をもかざれ帋幟