初真桑四にや断ん輪に切ん
小鯛さす柳涼しや海士がつま
風かほるこしの白根を国の花
夏艸に富貴を餝れ蛇の衣
夏艸や我先達て蛇からむ
先たのむ椎の木も有夏木立
夕にも朝にもつかず瓜の花
日の道や葵傾くさ月あめ
曙はまだむらさきにほととぎす
橘やいつの野中の郭公
ほたる見や船頭酔ておぼつかな
己が火を木々の蛍や花の宿
わが宿は蚊のちひさきを馳走也
頓て死ぬけしきは見えず蝉の声
京にても京なつかしやほととぎす
川かぜや薄がききたる夕すずみ
我に似るなふたつにわれし真桑瓜
うきふしや竹の子となる人の果
嵐山藪の茂りや風の筋
柚の花や昔しのばん料理の間
ほととぎす大竹藪をもる月夜
たけのこや稚き時の絵のすさび
うき我をさびしがらせよかんこどり
手をうてば木魂に明る夏の月
一日一日 麦あからみて啼雲雀