さざ波や風の薫の相拍子
湖やあつさをおしむ雲のみね
皿鉢もほのかに闇の宵涼み
ひらひらと挙る扇や雲の峯
蓮のかを目にかよはすや面の鼻
灌仏や皺手合する珠数の音
烏賊売の声まぎらはし杜宇
別ればや笠手に提て夏羽織
降ずとも竹植る日は蓑と笠
此宿は水鶏もしらぬ扉かな
紫陽草や帷巾時の薄浅黄
花と実と一度に瓜のさかりかな
ほととぎす今は俳諧師なき世哉
松風の落葉か水の音涼し
白芥子や時雨の花の咲つらん