和歌と俳句

胡瓜 胡瓜もみ

いわけなう日うらの白き胡瓜哉 子規

花のあとにはや見えそむる胡瓜哉 子規

胡瓜歯に鳴り友情面にあり 虚子

胡瓜もむエプロン白き妻の幸 麦南

棘ありて梅雨ばれの胡瓜大きく 彷徨子

神農にささげて早き胡瓜かな 蛇笏

彷徨子
胡瓜の虫つぶしにいでて雲を見る

胡瓜の皮をむぐそれからそれと考へつつ 山頭火

胡瓜もみ蛙の匂ひしてあはれ 茅舎

わが厨胡瓜刻みて午に迫る 誓子

客を好む主や妻や胡瓜もみ虚子

取敢ず世話女房の胡瓜もみ 虚子

胡瓜もみ世話女房といふ言葉 虚子

胡瓜刻んで麺麭に添へ食ふまたよしや 

老いは黄色野太い胡瓜ぶらさがり 三鬼