和歌と俳句

青梅 梅の実

青梅に天ぎる雪や砂糖漬 才麿

青梅にうはの空なる人恋し 北枝

青梅に眉あつめたる美人哉 蕪村

青うめをうてばかつ散る青葉かな 蕪村

青梅や微雨の中行飯煙 蕪村

青んめや黄なるも交雨の中 召波

青梅のにほひ侘しくもなかりけり 太祇

青梅や女のすなる飯の菜 太祇

青梅に手をかけて寝る蛙哉 一茶

青梅や餓鬼大将が肌ぬいで 一茶

花の皆青梅になる若木かな 子規

青梅の落て拾はぬあき家哉 子規

梅の実の落て黄なるあり青きあり 子規

青梅や黄梅やうつる軒らんぷ 子規

梅の実を必ずくるる隣あり 虚子

晶子
琴の上に梅の実おつる宿の昼よちかき清水に歌ずする君

青梅や空しき籠に雨の糸 漱石

茂吉
夏晴れの さ庭の木かげ 梅の實の つぶらの影も さゆらぎて居り

茂吉
さみだれの けならべ降れば 梅の實の 圓大きく ここよりも見ゆ

利玄
公園の梅林の青葉がくれの青き實のその昼われにしたしみしなり

青梅の尖に刺あり柔かし 虚子

青梅の葉蔭に見ゆるほどになんぬ 鬼城

青梅のおちゐて遊ぶ精舎の地 蛇笏

夏帽の仰ぎて去りし実梅かな 石鼎

青梅に軒まで積みし薪かな 石鼎

歯に当てゝいよいよ青き実梅かな 喜舟

青梅のはねて泛く葉や夕泉 蛇笏

青梅を洗うて濡れし井桁かな 石鼎

あたまをそつて帰る青梅たくさん落ちてる 放哉

青梅のぬくもつてゐてひろはれぬ 禅寺洞

竿疵もありて青梅うまさうな 草城

あら塩をつけて青梅喰ひ飽かぬ 草城

青梅も拾はで雨の板戸かな 普羅