枇杷 びわ
枇杷のさね道の行衛やしゆろの帚 言水
なつかしし雅く成し枇杷の味 土芳
節
廐戸にかた枝さし掩ふ枇杷の木の實のつばらかに目につく日頃
怠らぬ読書日課や枇杷を食ふ 虚子
高僧も爺で坐しぬ枇杷を食す 虚子
白秋
枇杷の木に黄なる枇杷の實かがやくとわれ驚きて飛びくつがへる
白秋
枇杷の實をかろくおとせば吾弟らが麦藁帽にうけてけるかな
飼猿を熱愛す枇杷のあるじかな 蛇笏
枇杷の核の沁み拡がれる白紙哉 泊雲
千樫
海にむきて高き斜面の枇杷の山枇杷をもぎゐるこゑきこゆなり
枇杷を食ふ腕あらはに病婦かな 爽雨
一笊の枇杷も盛る住み残る軒を並べ 碧梧桐