和歌と俳句

青薄 青芒

住人の是てとけたり青すすき 野坡

お地蔵や屋根しておはす青芒 鬼城

山影のひたる堰あり青芒 石鼎

水上にはや谷くれぬ青芒 石鼎

蛇踏みし心いつまで青芒 石鼎

利玄
すすき葉のさ青長葉のしげり葉のするどに垂れて風あらずけり

利玄
すすき葉のさ青垂葉のするどなる葉さきにさやり指はきらせじ

牛のせな僅かに見えぬ青芒 石鼎

日覆とれば俄に高し青芒 石鼎

小田の畦崖に添ひゐぬ青芒 石鼎

水を呑み呑み渉れる犬や青芒 青畝

けふもまたつづく天気や青芒 万太郎

なつかしき甲斐ヶ嶺なりや青芒 万太郎

甘草の花がのけぞり青薄 亜浪

しがらみを潰え出し土砂や青芒 泊雲

千樫
高原の午ちかき日の照りぐはし若き薄に風吹きにけり

ふけそめし灯かげ淋しや青芒 万太郎

さらさらと蝮隠れぬ青すすき 草城