和歌と俳句

早乙女 さおとめ

顕季
たねまきし 早苗の稲の おひぬらむ しづ心なく 見ゆる早乙女

早乙女やよごれぬ物はうたばかり 来山

早乙女やつげのおぐしはささで来し 蕪村

早乙女やひとりは見ゆる猫背中 召波

早乙女のうしろ手しばし夕詠 白雄

早乙女や水に倦みては海へ向く 白雄

早乙女や先へ下リたつ年の程 太祇

早乙女の下りたつあのたこの田哉 太祇

かつしかや早乙女がちの渉し舟 一茶

早乙女の尻につかへる筑波哉 一茶

良寛
早苗ひく乙女を見ればいその上古りぬし御代の思ほゆるかも

良寛
手もたゆく植うる山田の乙女子がうたの聲さへややあはれなり

うち竝ぶ早乙女笠や湖を前 虚子

田移りの早乙女が唄を森隔つ 碧梧桐

早乙女や笠をそびらに小買物 禅寺洞

早乙女に蜘蛛の囲流れかかりけり 禅寺洞

千樫
これの田を植うるにしあらし畦の上に早少女ならべり十五六人

千樫
下の田に今うつりたる早少女ら小笠はとりてすずしかるらし

早乙女や神の井をくむ二人づれ 蛇笏

早乙女の重なり下りし植田かな 虚子

早乙女の夕べの水にちらばりて 素十

早乙女や手甲をかるく手を伸べて 素十

土手越えて早乙女足を洗ひけり 茅舎

早乙女に早起の太鼓鳴りにけり 泊雲

早乙女の下り立つ向ひ畦よりも 泊雲

早乙女の漕ぎ戻りくる舟にあふ 播水

早乙女や麦焼く人に笑み通る 石鼎

早乙女の一枚の田に下そろふ 夜半

早乙女の戸をたちいづる手を茱萸へ 爽雨

早乙女の虹を讃えて佇ちにけり 不器男