和歌と俳句

高浜虚子

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雨風に任せて悼む牡丹かな

白牡丹いづくの紅のうつりたる

白牡丹といふといへども紅ほのか

方丈に今届きたる新茶かな

セルを著て肩にもすそに木影かな

田を植うる男許りの山田かな

降りかくす森見て立ちし田植かな

早乙女の重なり下りし植田かな

真夜中の町幅廣しとぶ

の聲のむつと打ちたる面かな

蚊いぶしの煙に遊ぶにくし

美人繪の団扇持ちたる老師かな

役者繪の団扇尚ある伯母の宿

宗鑑の墓に花無き涼しさ

涼風の暫くしては又来る

紅さして寝冷の顔をつくろひぬ