和歌と俳句

一八 やぶれがさ 鳶尾

一八の屋根並びたる小村かな 子規

わら家根や一八咲いて橋の下 鬼城

いちはつのぬれてゐるなり紙のごと 禅寺洞

一八の屋根の藁家の灯りけり 石鼎

蕗の中あはれ一八咲きにけり 青邨

紫羅傘に嶺の雷雨の打ちきたる 秋櫻子

いちはつの花すぎにける屋根並ぶ 秋櫻子

供華はみな白し一八抽きん出て 波津女

夜鷹鳴き月またくらしやぶれがさ 秋櫻子

何といふ寒さぞ一八花咲くに 誓子

溝の穢に一八白き蕾して 誓子

いちはつや親にやさしく古娘 草城

一八の花のほとりに封を切る 鷹女