和歌と俳句

燕の子

千樫
にごり河の岸の小笹に押しならびつばくらの子は鳴きて居にけり

訪ふを待たでいつ巣立ちけむ燕の子 久女

燕の子ゐると思へば昼しづか 青邨

子燕のさざめき誰も聞き流し 汀女

ほしいまま茂る木の間を親燕 汀女

待つ長し電線つかみ仔燕等 多佳子

母燕細し炎天へ翔けいづるとき 多佳子

燕の子眠し食いたし雷起る 三鬼

黒と白すでにくきやか子燕は林火

子燕につよきひかりの幹あまた 龍太

双魚
子燕のうす紅の喉糸ぐるま

爽雨
飛びならふ子燕の中ぬけて親

爽雨
崖すがりしては子燕飛びならふ