時鳥鰹を染にけりけらし 芭蕉
鰹売いかなる人を酔すらん 芭蕉
大勢の中へ一本かつをかな 嵐雪
鰹一本に長家のさはぎ哉 一茶
節
松魚船入江につどひ檣に網建て干せり帆を張るが如し
節
きららかに磯の松魚の入日さしか ゞやくなべに人立ち騷ぐ
牧水
港はや青むらききの夏の魚鰹ばかりを売る街となる
牧水
鰹売ると月夜の海の魚の如人こそさわげ崎の月夜に
牧水
熊野なる鰹の頃に行きあひしかたりぐさぞも然かと喰せこそ
牧水
むさぼりて腹な破りそ大ぎりのこれの鰹をうましうましと
牧水
あなかしこ胡瓜もみにも入れてあるこれの鰹を殘さうべしや
白雲や漕ぎつれ競ふ鰹舟 月二郎
釣竿の竹大束や鰹船 水巴
松魚舟子供上りの漁夫もゐる 虚子
出刃の背を叩く拳や鰹切る たかし
盤台を滑る鰹や掴み切る たかし
鰹釣る直立海に上下して 誓子