午まへの烈日にしる夕立かな
あるときのひろごりもゆる雲の峰
もれ出でて 蛍いくつも籠の紗に
風鈴のむせび鳴りして夜半さびし
地の闇を這ひなく猫や夜の南風
紫や昼の色なる杜若
星仰ぐ頬に雨粒や庭若葉
火星いたくもゆる宵なり蝿叩
水無月の枯葉相つぐ梧桐かな
男霊は陽に女霊は月にひでりかな
夜のかなた甘酒売りの声あはれ
一方に月さしかかる雷雨かな
下りたちて天地尊とき若葉かな
うつくしき風鈴一つ売れにけり
ほろほろと雨つぶかかる日傘かな
青梅をぬうてさまよふ梅雨 蛍
麦笛を吹く子に雲の美しき
子守子の白粉つけて薔薇の園
賤が家に飼はれて老いし金魚かな
山田植う人のほとりの薊かな
青芒目には見えねど神の影
噴水へすすむ白扇ひらひらと
葛水や夜陰の苔をまのあたり
籠の内の紗をもえのぼる蛍かな