和歌と俳句

木下闇

須磨寺やふかぬ笛きく木下やみ 芭蕉

あゆみあゆみあとや見らるる木下闇千代女

界隈のなまけ所や木下闇 一茶

木下闇ところどころの地蔵かな 子規

木下闇電信の柱あたらしき 子規

送られて別れてひとり木下闇 子規

物凄き平家の墓や木下闇 子規

下闇や蛇を彫りたる蛇の塚 子規

蛾の飛んで陰気な茶屋や木下闇 子規

音もせで水流れけり木下闇 漱石

茨散て水の光りや木下闇 碧梧桐

病葉ををりをり降らし木下闇 風生

人の居て葛の葉ゆれぬ木下闇 普羅

下闇に遊べる蝶の久しさよ たかし

釣れし鮠見せあふ子らや木下闇 立子

下闇や土よりつづく幹の苔 たかし

木下闇とび来し蝶に空気揺れ 立子

男女入れ依然暗黒木下闇 多佳子

峠路の木下闇恋ひ旅に出し 立子

稀に鷺地に下り歩む木下闇 悌二郎