和歌と俳句

青簾

青簾いづれの御所の賀茂詣 其角

五位六位色こきまぜよ青簾 嵐雪

能答ふわか侍や青すだれ 太祇

よし吹やわか葉ながらの青簾 几董

青すだれ白衣の美人通ふ見ゆ 一茶

身一つや死なば簾の青いうち 一茶

小娘の団扇つかふや青すだれ 子規

萱町や裏へまはれば青簾 子規

青簾娘をもたぬ家もなし 子規

ほろほろと雨吹きこむや青簾 子規

青簾裏畠の花を幽にす 龍之介

塔雛形あるこの宿や青簾 碧梧桐

麦畑や奈良の小鍛冶が青すだれ 蛇笏

庭傾き映れる鏡青簾 青畝

青すだれ戞々として太柱 泊雲

青簾片はづれして暮情かな 草城

雨を見る白き面輪や青簾 草城

灯ともりて色蘇る青簾かな 草城

灯を籠めてさやかに青き簾かな 草城

欄干にあがる怒濤や青簾 花蓑

青簾二階ひそかな髪つくり 鴻村

青簾山王祭り近づきぬ 風生

つづきもの書きはじめたる青簾 万太郎

のこりなく牡丹葉になり青簾 槐太

楫の音夕づきそめぬ青簾 秋櫻子

ちらつける遠きひかげや青簾 草城

しづかなる広き邸や青簾 橙黄子

移り来て人住みにけり青すだれ 虚子

雲水もともに假臥や青すだれ 蛇笏

庭の草うつくしかりし青簾 青邨

青簾大都の夏は来りにけり 石鼎

青簾内がはの「み」に籠りけり 石鼎

朝の東夜の西窓や青簾 石鼎

さよならのくちづけながし青簾 草城

きちかうは秋咲くものの青すだれ 万太郎

青簾たまたま月のなき夜にて 万太郎

青簾あをしまぼろし来て住める 鷹女

病人をかくすよしなし青簾 花蓑

清流につき出し二階青簾 立子

青簾一枚吊れば幽かなり 虚子

青簾に灯走る縦に一文字 朱鳥

青簾銀屏よりも撥の冴え 欣一

青すだれむかしむかしのはなしかな 万太郎

わが家も住みよかりけり青簾 虚子

青簾世に隠れんとには非ず 虚子

青簾疲れし者なき代の如く 草田男

をんな来て別の淋しさ青簾 双魚