和歌と俳句

服部嵐雪

よろこぶを見よやはつねの玉はは木

うぐひすの宿とこそみれ小摺鉢

見たいもの花もみぢより継穂哉

女中方尼前は花の先達か

春の水に秋の木の葉を柳鮠

桐柳民濃に菜飯かな

酒くさき人にからまるこてふ哉

稲妻にけしからぬ神子が目ざしやな

三盒子ことたらはすや年の暮

五位六位色こきまぜよ青簾

空は墨に画竜覗きぬほととぎす

簔干して朝々ふるふ蛍かな

夏の日に懶き飴のもやし哉

名月や歌人に髭のなきがごと

黄菊白菊其外の名はなくも哉

鶴の声菊七尺のながめかな

菊さけり蝶来て遊べ絵の具皿

門の雪臼とたらひのすがた哉

君見よや我手いるるぞ茎の桶

艸の葉を遊びありけよ露の玉

下闇や地虫ながらの蝉の声

花すすき大名衆をまつり哉

出替や幼ごころに物あはれ

狗背の塵にえらるるわらびかな

手習の師を車座や花の児