和歌と俳句

露とくとく心みに浮世すすがばや 芭蕉

けふよりや書付消さん笠の露 芭蕉

西行の草鞋もかかれ松の露 芭蕉

硯かと拾ふやくぼき石の露 芭蕉

しら露もこぼさぬのうねりかな 芭蕉

初茸やまだ日数へぬ秋の露 芭蕉

草の葉を遊びありけよ露の玉 嵐雪

野の露によごれし足を洗けり 杉風

白露や茨の刺にひとつづつ 蕪村

燈籠を三たびかかげぬ露ながら 蕪村

白露や家こぼちたる萱のうへ 蕪村

しら露やさつ男の胸毛ぬるゝほど 蕪村

市人の物うちかたる露の中 蕪村

鍋釜もゆかしき宿やけさの露 蕪村

かけ稲のそらどけしたり草の露 蕪村

舎利となる身の朝起や草の露 蕪村

旅人の灯をこぼす秋の露 蕪村

むさし野や合羽に震ふ露の玉 召波

夕露やいつもの処に火の見ゆる 一茶

白露に気の付年と成にけり 一茶

白露にざぶとふみ込む烏哉 一茶

露おりて四条はもとの川原哉 一茶

有明や露にまぶれしちくま川 一茶

白露や茶腹で超るうつの山 一茶

息才で御目にかかるぞ艸の露 一茶

露の玉つまんで見たるわらべ哉 一茶

良寛
風になびく尾花が上におく露の玉と見しまにかつ消えにけり