和歌と俳句

花野

実朝
秋萩の花野のすすき露をおもみおのれしをれて穂にや出でなん

山伏の火をきりこぼす花野哉 野坡

笠を置とこを見ありく花野哉 千代女

松明消て海すこし見ゆる花野哉 蕪村

廣道へ出て日の高き花野かな 蕪村

二里といひ一里ともいふ花野哉 太祇

折よりは行に慰む花野哉 召波

今迄は踏れて居たに花野かな 一茶

わか犬が蜻蛉返りの花の哉 一茶

から駕籠の近道戻る花野哉 子規

左千夫
天地のくしき草花目にみつる花野に酔て現ともなし

川上の水静かなる花野かな 碧梧桐

露ふむで指す方もなき花野哉 放哉

赤彦
かかる國に生れし民ら起き出でて花野の川に水を汲むかも

芒絶て茅の穂交り花野かな 碧梧桐

芒谷下りて果なき花野かな 碧梧桐

東に日の沈みゐる花野かな 虚子