和歌と俳句

蜻蛉

蜻蜒やとりつきかねし草の上 芭蕉

水に出て水には入らぬ蜻蛉哉 千代女

染あへぬ尾のゆかしさよ赤蜻蛉 蕪村

日は斜関屋の鎗にとんぼかな 蕪村

蜻蛉や村なつかしき壁の色 蕪村

蜘の囲に棒しばりなるとむぼ哉 太祇

秋風をあやなす物か赤とんぼ 青蘿

とんぼうや飯の先までひたと来る 召波

白壁に蜻蛉過る日影哉 召波

秋の季の赤とんぼうに定りぬ 白雄

なき人のしるしの竹に蜻蛉哉 几董

夕日影町一ぱいのとんぼ哉 一茶

うろたへな寒くなる迚赤蜻蛉 一茶

トンボウが焼どの薬ほしげ也 一茶

蜻蛉の尻でなぶるや角田川 一茶

御祭の赤い出立の蜻蛉哉 一茶

御仏の代におぶさる蜻蛉哉 一茶

遠山が目玉にうつるとんぼ哉 一茶

町中や列を正して赤蜻蛉 一茶