和歌と俳句

與謝蕪村

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柳ちり清水かれ石ところどころ

我が手にわれをまねくや秋のくれ

猿どのの夜寒訪ゆく菟かな

立去る事一里眉毛に秋の峰寒し

順礼の目鼻書ゆくふくべ

肌寒し己が毛を噛木葉経

せきれいの尾やはし立をあと荷物

とかくして一把になりぬをみなへし

秋かぜのうごかして行案山子

我足にかうべぬかるゝ案山子

一陣は佐々木二陣は梶のふね

月今宵松にかへたるやどり哉

秋来ぬと合点させたる嚏かな

温泉の底に我足見ゆるけさの秋

稲づまや浪もてゆへる秋つしま

いな妻や秋つしまねのかゝり舟

いな妻の一網うつやいせのうみ

四五人に月落かかるおどり

高燈籠滅なんとするあまたたび

あぢきなや蚊屋の裾踏魂祭

魂棚をほどけばもとの座敷かな

徹書記のゆかりの宿や魂祭

大文字や近江の空もただならぬ

摂待にきせるわすれて西へ行

染あえぬ尾のゆかしさよ赤蜻蛉

古御所や虫の飛つく金屏風

朝がほや一輪深き淵のいろ

小狐の何にむせけむ小萩はら

黄昏やに鼬の高台寺