和歌と俳句

秋燕

秋つばめ名残の糞を落しけり 草城

肩とがり天の秋燕を妻と仰ぐ 三鬼

天すみて火祭了へぬ秋つばめ 蛇笏

秋燕に日々高嶺雲うすれけり 蛇笏

秋燕のそらのはろかに瞳をほそめ 鷹女

山ぶだう野面に酸ゆし秋燕 鷹女

高浪にかくるる秋のつばめかな 蛇笏

秋燕にはるかなる海光りけり みどり女

砂丘行き秋燕を見しばかりなり たかし

秋燕妖しき朱ヶを頬にせり 蛇笏

とぶつばめはるけき秋や雲の隙 蛇笏

秋燕にしなのの祭湖荒れて 多佳子

秋燕妖しき朱ヶを頬にせり 蛇笏

出水して町に秋燕啼き溜る 多佳子

秋燕や高き帆柱町に泊つ 多佳子

秋燕やサガレンへ立つ船もなし 楸邨

秋燕や靴底に砂欠けつづけ 楸邨

秋燕となりて一日天にばかり 多佳子

高丘にゆびさす雲の秋つばめ 蛇笏

温泉煙の朝の白さよ秋燕 たかし

湯の邑の空狭長なる秋つばめ 風生

暮れ空に溜井の光り秋燕 蛇笏

瀧つぼの霧がくりとぶ秋燕 蛇笏

秋燕や毛槍のごとき峡の桑 不死男