和歌と俳句

高浜虚子

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舟漕いで亭主帰りぬ沼の

ふるへ居る棕櫚の葉もある野分かな

小座蒲団萩の床几に敷いてあり

もの言ひて露けき夜と覚えたり

置くと月の芒に手を触れし

椎の露香椎の宮に来りけり

沼の月少し曇りて面白し

大いなる月の暈あり巨椋池

枝豆や舞子の顔に月上る

赤きものつういと出でぬ吾亦紅

秋山や椢をはじき笹を分け

沼舟の棹高々と蘆がくれ

泣きやめし子我を見る刈田道