夕紅葉色失ふを見つつあり 虚子
草田男
戦後の子紅葉のうらに赤々と
草田男
ただ忍べ燃ゆる紅葉の夕冷えは
いただきの一枚さわぐ紅葉かな 普羅
たかし
星消えて空快晴や谷紅葉
紅葉寒遠嶺の日ざし吾に来ず 綾子
大原は近し濃紅葉牛車 虚子
茂吉
馬叱る 人のこゑする 狭間より なほその奥が 紅葉せりけり
尼寺の紅葉やとぼそ埒を結ひ 虚子
大紅葉燃え上らんとしつつあり 虚子
能衣装うちかけしごと庭紅葉 虚子
巫女案内紅葉をくぐり橋を過ぎ 虚子
秋櫻子
裾ながき紅葉見あげて峰の雲
秋櫻子
夜明けぬと懸巣が騒ぐ山紅葉
秋櫻子
山紅葉明けて一天瑠璃なりき
立子
障子しめて四方の紅葉を感じをり
波郷
病室の中まで黄葉してくるや
首巻をして濃紅葉に染まるまま 虚子
たかし
常念嶽の常居る軒の紅葉晴
たかし
軒紅葉遠紅葉して槍穂高
たかし
桂よりはじまりゐるや谷紅葉
人顔は未ださだかに夕紅葉 虚子
たかし
黒漆の厨子うち開き紅葉冷え
たかし
み佛に紅葉置くなる微妙音
たかし
宇治川の瀬波淵波もみぢ照る
たかし
水叫び紅葉騒立ち宇治暮るる
青畝
紅葉照り伐折羅大将生きてをる
爽雨
紅葉して山荘人の住み住まず
爽雨
索道のうなづきゆく荷山もみじ
爽雨
松島の松間紅葉へ橋わたる