和歌と俳句

烏瓜

うら枯ていよいよ赤しからす瓜 太祇

行く秋のふらさかりけり烏瓜 子規

烏瓜塀に売家の札はりたり 漱石

晶子
赤らかに雑木の垣のからす瓜なびくつる引き君まつわれば

秋風をわづかに染めぬ烏瓜 石鼎

晶子
からす瓜風にふるへば思はれぬ高く尖れる屋根に鳴る鐘

牧水
からす瓜 はひのぼりゆきて 痩杉の こずゑに赤き 実を垂らしたり

濡れそむる蔓一すぢや鴉瓜 龍之介

鴉瓜赤らみそめぬ時雨れつつ 龍之介

堤の木ひよろと立つなり烏瓜 碧梧桐

蔓切れてはね上りたる烏瓜 虚子

尼と住んで心狂へり烏瓜 月二郎

烏瓜老の手力あまりけり 青畝

提げ来るは柿にはあらず烏瓜 風生

ぶらさがつてゐる烏瓜は二つ 山頭火

山で赤いのが烏瓜 山頭火

壁すつてゆく荷の牛や烏瓜 石鼎

やすらへる人に知られて烏瓜 静塔

烏瓜赤しと子らの触れゆきぬ 亞浪

かなしければ一つ並びに烏瓜 汀女

見る見るに暮れたるものに烏瓜 汀女

食卓にあり食べられぬ烏瓜 誓子

ひたひたと跣足に来れば烏瓜 汀女

烏瓜炊ぎげむりのすいと伸び 青畝

みづから青き水傲慢や烏瓜 草田男

烏瓜言葉何やら聞きもらし 汀女

からす瓜瓔珞となり高野道 青畝