和歌と俳句

朝寒

あさ寒や旅の宿たつ人の声 太祇

川西の古郷も見えて朝寒み 一茶

深川の家尻も見えて朝寒き 一茶

朝寒や垣の茶笊の影法師 一茶

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朝寒やちゞみあがりし衣の皺 子規

獣の鼾聞ゆる朝寒み 子規

朝寒や蘇鉄見に行く妙国寺 子規

朝寒やひとり墓前にうづくまる 子規

朝寒の鳥居をくぐる一人哉 漱石

朝寒や雲消て行く少しづつ 漱石

馬盥や水烟して朝寒し 漱石

朝寒み白木の宮に詣でけり 漱石

朝寒の顔を揃へし机かな 漱石

朝寒や行き遇ふ船も客一人 虚子

藁積めば朝寒き里の冬に似る 碧梧桐

朝寒や自ら炊ぐ飯二合 漱石

朝寒や生きたる骨を動かさず 漱石

温泉煙の朝の寒さや家鴨鳴く 碧梧桐

朝寒の老を追ひぬく朝な朝な 虚子

朝寒や馬のいやがる渡舟 鬼城

朝寒や花一すじの水引草 喜舟

朝寒や音羽へ下りる鼠坂 喜舟

朝寒やさざ波白き川の上 龍之介

朝寒の葉を垂らしたる柏かな 龍之介

朝寒や機鑵車ぬくく顔を過ぐ 風生

朝寒や息かけて押す出勤印 爽雨

朝寒や鬼灯のこる草の中 龍之介

柱鏡に風見えてゐる朝寒し 亞浪

朝寒や万年青一鉢舟住居 喜舟

朝寒や擂鉢ふせし木の間の木 青畝