和歌と俳句

茸 きのこ 菌

松茸にあらざる木の子歯朶にさし 普羅

菌山天の直下に飯を食ふ 誓子

菌山やや人境をへだてたり 誓子

平凡な日々のある日のきのこ飯 草城

爛々と昼の星見え菌生え 虚子

紅茸を怖れてわれを怖れずや 三鬼

紅茸を打ちしステツキ街に振る 三鬼

海坂に日照るやここに孤絶の茸 三鬼

行く雲は途中で消ゆる菌の香 耕衣

吾も老いぬ娘のかしぎたる菌飯 立子

深山茸わが盃に酒あふれ 秋櫻子

菌生ゆげほんげほんと犬の咳 不死男

燈の森の ヘラヘラわらふ紅きのこ 鷹女

山中に人を呼び入れ紅きのこ 鷹女

舞茸の大きな幸よ御師の宿 青畝

着物新しく菌を眺めかな 耕衣

峡冷えの冷えは嘆きに似て菌 不死男

爺婆の多いき山湯の菌どき 悌二郎

茸狩やけもものみちの急ぎやう 不死男