朝顔のうつろひやすく灼け来けり 亞浪
朝顔をあはれと見つつ障子しめ 虚子
朝顔の朝永きにも亡妻を憶ふ 亞浪
朝顔の籬外へ垂れて人ゆき次ぐ 亞浪
朝顔や百たび訪はば母死なむ 耕衣
堪ゆることばかり朝顔日々に紺 多佳子
泣きたれど朝顔の紺破るべし 多佳子
朝顔は紺折りたたむひらく前 多佳子
秋風にあさがほひらく紺張りて 多佳子
子らの朝顔咲けば楽しく時経ちぬ 亞浪
朝顔煤煙密室とどろダンス館 草田男
朝顔の大輪にして重なりて 虚子
あさがほのつぼみのかぞへきれぬほど 万太郎
大風の夜のあさがほにあくるかな 万太郎
あさじほの音あさがほにたかきかな 万太郎
あさがほをよろこぶ茶粥すゝりけり 万太郎
待ちたりし赤朝顔の今朝咲きし 虚子
朝顔の花に朝寝のあるじかな 虚子
あさがほやとめればラヂオすぐとまり 万太郎
水いろと白とばかりやあさがほの 万太郎
あさがほのむらさき咲けるまことかな 万太郎
天の星地のあさがほのつぼみかな 万太郎
あさがほにとほく松風落つるかな 万太郎
平凡に咲ける朝顔の花を愛す 草城
朝顔の雨や書屋を開け放ち 虚子
あさがほの大地になじむ花の瑠璃 蛇笏
あさがほのやたらむらさき八重葎 万太郎
朝顔や港賑ふ裏町に 汀女
朝顔や友等笑へば幼な顔 草田男
あさがほの蔓のびそむるひかりかな 万太郎
あさがほやあすのつぼみの雨に濡れ 万太郎
あさがほの日々うまれつぐ莟かな 万太郎
あさがほやいのちのかぎり咲きし数 万太郎
朝顔を一輪挿に二輪かな 虚子
朝顔や漁村の娘の耳ものききたげ 草田男
あさがほやはやくも夢で逢ひし縁 万太郎
あさがほの濃きいろがちや簾越し 万太郎
あさがほや悔いておよばぬことばかり 万太郎
あさがほのあふるるばかり咲けるかな 万太郎
あさがほやまづあさあさの日のひかり 万太郎
あさがほの咲きあふれたるうき世かな 万太郎
朝顔や藁屋根古び人睦び 立子
朝顔や舳みがける投網舟 秋櫻子
朝顔やひとりめざめて老患者 波郷
朝顔のけふに大雨の夜明前 悌二郎
今朝の晴ありて朝顔悔いあらじ 悌二郎
朝顔や四つ目垣越え四つ目垣 立子
朝顔やむかしいづこを入谷川 秋櫻子