和歌と俳句

初嵐 はつあらし

日を拝む蜑のふるへや初嵐 嵐雪

君こねばあぶら灯うすし初嵐 太祇

富士川の石あらはなり初嵐 子規

富士沼や小舟かちあふ初あらし 子規

朝顔の花やぶれけり初嵐 子規

恙なきや庵の蕣初嵐 子規

風呂に入れば裏の山より初嵐 漱石

温泉湧く谷の底より初嵐 漱石

ことし掻けば枯るる漆や初嵐 碧梧桐

はつ嵐真帆の茜に凪ぎにけり 蛇笏

琴の音や芭蕉すなはち初嵐 蛇笏

巨涛砕けて残る水泡や初嵐 石鼎

初嵐穂蘆の外に鰡飛んで 亞浪

戸を打つ搏つて落ちし簾や初嵐 かな女

纜にしぶき煙や初嵐 泊雲

ぽつぽつと黍の孕み穂初嵐 泊雲

白壁に雨のまばらや初嵐 泊雲

初嵐芭蕉ほどなる大カンナ 石鼎

黍の音夜天にひろし初嵐 石鼎

棚ふくべ現れ出でぬ初嵐 虚子

高黍の門辺に立てば初嵐 風生