和歌と俳句

南瓜 かぼちゃ 唐茄子

ずつしりと南瓜落て暮淋し 素堂

どつしりと尻を据えたる南瓜かな 漱石

南瓜煮てこれも佛に供へけり 虚子

我が南瓜ひき臼程になりにけり 虚子

南瓜大きく畑に塞る二つかな 鬼城

草高き垣根に太る南瓜かな 石鼎

山ぎしを這はせて作る南瓜かな 石鼎

南瓜とつて何を播かまく孀かな 青畝

ぺちやんこの南瓜可笑しくなりにけり 草城

石なげやどの石も南瓜畑に 彷徨子

目を閉ぢてほほゑむおかめ南瓜かな 青畝

夕かげりおかの南瓜も慌し 青畝

子を抱いてかぼちや畑に朝まだき 立子

塀にかぼちやをぶらさがらしてしづかなくらし 山頭火

ものいへば南瓜ころがして人みしり 汀女

書屋いま収穫の南瓜置きならべ 青邨

地球儀と南瓜と柿本人麻呂と 青邨

雨風に甕のごとくに南瓜かな 青畝

積雲の崩えがちに南瓜実りたり 亞浪

夕煙立ちこめたりし南瓜棚 虚子

這ひ出でし南瓜うごかず秋の暮 普羅

縁さきのたゞちに南瓜畠かな 万太郎

一面に南瓜まとへる伏屋かな 虚子

朝な朝な南瓜を撫しに出るばかり 草城

古墓や南瓜の肌は粉ふきて 草田男

南瓜の山そこへ女の香をのがる 草田男

赤かぼちや開拓小屋に人けなし 三鬼