茸山の麓を通る天気かな
茸山や夫人晴着に襷がけ
雑茸も採れば皆貫く笹の茎
貧厨に松茸を焼く香かな
肉鍋や松茸白く介在す
寂しさに葡萄を握る月夜かな
月さしてむらさき煙る葡萄かな
傾いて月まどかなり葡萄棚
芋の葉の水玉載せて晴れにけり
妹と居て梨剥けば足る恋ごころ
梨剥くやいまだもけむる湯上り手
ぺちやんこの南瓜可笑しくなりにけり
秋なすび小さき実つけて木の如し
夕風に散りさざめける柳かな
起きぬけの冴えぬ面輪や散柳
人しれぬ花いとなめる茗荷かな
咲けりとも人は知らじな花茗荷