鳴き立ててつくつく法師死ぬる日ぞ 漱石
秋風にふえてはへるや法師蝉 虚子
うとうとと汽車にねむればときをりに法師蝉きこゆ山北あたり 牧水
法師蝉かたみに鳴ける二つかな 風生
灯りし小公園や法師蝉 橙黄子
法師蝉家込みながら椎の庭 みどり女
法師蝉耳に離れし夕餉かな 青畝
後庭の草木晴れたり法師蝉 草城
幽篁や一つ鳴き澄む法師蝉 草城
この旅、果もない旅のつくつくぼうし 山頭火
しづけさのきはまれば鳴く法師蝉 草城
法師蝉鳴く新学期始まれり 秋櫻子
石塊ののりし鳥居や法師蝉 不器男
はれてはつきりつくつくぼうし 山頭火
年とれば故郷こひしいつくつくぼうし 山頭火
一人となればつくつくぼうし 山頭火
身にちかくあまりにちかくつくつくぼうし 山頭火
つくつくぼうしつくつくぼうしと鳴いて去る 山頭火
法師蝉月の莚の設けあり 花蓑
遠けれどそれきりなれど法師蝉 汀女
法師蝉到るところに日影かな 汀女
こどもばかりでつくつくぼうし 山頭火
つくつくぼうしあすから旅立つ私で 山頭火
ちかく、あまりにちかくつくつくぼうし 山頭火
まへもうしろもつくつくぼうしつくつくぼうし 山頭火
おべんたうたべてゐるまうへつくつくぼうし 山頭火
波音の霽れてくるつくつくぼうし 山頭火
つくつくぼうしもせつなくないてなきやんだ 山頭火
水が米をついてくれるつくつくぼうし 山頭火
出来秋の四五軒だけのつくつくぼうし 山頭火