秋空の限り背にある命かな 綾子
はなやかに秋空ふかき山泉 蛇笏
秋天をゆきにし島の跡のこる 三鬼
毬藻手にちぎれちぎれの秋の天 楸邨
濁りしと思へど高し秋の空 虚子
秋天にボールとどまる少女の上 三鬼
鯱の金ある時黒し秋の空 たかし
足摺は五つ崎ある秋天下 たかし
深山の日のたはむるる秋の空 蛇笏
秋天一碧潜水者のごと目をみひらく 草田男
刈りおとす枝に蜂の巣秋の空 爽雨
雲の間に邃くて近し秋の天 風生
ほどけゆく一塊の雲秋の空 虚子
白雲のち切れしところ秋の空 虚子
わが比叡比良と嶺わかつ秋の空 多佳子
屋根屋根のそのお国ぶり秋の空 立子
乳母車坂下りきつて秋天下 多佳子
秋天の釣橋を人つづかざる 青畝
見えわたる小野の墓群や秋の空 蛇笏
雲きれて碧潭穿つ秋の天 風生
秋天に月のかけらの白きのみ 風生
幼き日見し秋天をけふ仰ぐ 悌二郎
麻酔さめて昼の月ゐる秋の空 不死男
秋の空日々好日を願ふのみ みどり女