和歌と俳句

単衣 ひとえ

兼輔
わが着たる一重衣は山吹の八重の色にもおとらざりけり

定家
厭はるる名をや立つべき年をへてはるをへだつるひとへの衣

単物ぬぐや漁の首途酒 才麿

淋しさはどこのふりやら単物 土芳

乳あらはに女房の単衣襟浅き 碧梧桐


とりいでて肌に冷たきたまゆらはひとへの衣つくづくとうれし

三子皆男で譲る単衣かな 草城

わが好きの単衣つるせり寝ても見る 草城

ひとへもの径の麦に刺されたり 亞浪

面痩せし子に新しき単衣かな 久女

単衣着の襟の青磁にこころあり 蛇笏

単物著てエプロンに透き見ゆる 万太郎

単衣きてまだ若妻や鶴を折る 立子

八一
はるすぎてなつきたれどもしろたへのひとへごろももあらぬわれかも

嫗の身風に単衣のふくらみがち 多佳子

野の石が笑ふや単衣なるわれを 耕衣

沖白波にさそはれて海女単衣着る 林火

旅いつも来向へる中単衣着る 爽雨

われの姓阿波のしじらの単衣を着 青畝

帯を巻く時をぞ縁に単衣きる 爽雨