単衣きてまだ若妻や鶴を折る
人に似てかなし天気の蝸牛
銀扇をあぎとにあてて思ひごと
縁台のうすべりとんで青嵐
衣更へて早昼餉時妻一人
お茶の間に集りやすし庭若葉
重き雨どうどう降れり夏柳
茅の輪くぐり星降る夜空詣でけり
社務所の灯茅の輪に及び夜更けをり
咲ききりて動きやまずよ月見草
月見草かく美しき宵ありき
野地となり眺めひらけぬ鯉幟
日もすがら卯の花腐し茶を淹るる
緑蔭に染まるばかりに歩くなり
美しき緑走れり夏料理
大いなる蛍の闇に細き道