和歌と俳句

星野立子

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虫ばめる虎杖の道つづきけり

ちぎれ浮くふさ藻の先も花咲きぬ

おもむろに落ちゆく水やの上

滝水の一すぢ強きすぢありぬ

半ばより煙の如く滝落つる

滝見茶屋大鉄瓶のたぎりをり

踏まれたる十薬あやがて起きなほり

花びらのそり吹かれをり大牡丹

滝音になれて蛍を待ちにけり

蛍まつまつ暗やみの茨垣

くちなしの日に日に花のよごれつゝ

落つるとき花のさびしき月見草

側らの高き葉の上散蓮華

蓮の茎かこみて菱の浮葉かな

それぞれの行燈たてゝ涼み舟

くたびれし足なげ出して舟料理

納涼やうすぼんやりと灯のともり

曝書まぶし百日紅の花よりも

今落ちし牡丹に蟻ののりゆきぬ

花びらの吹かれまがりて杜若

こだまして子等遠ざかる森の夏

話しつゝおほばこの葉をふんでゆく

夏草やバケツ振り振り子供来る

水に浮くえごにボートを進めけり

おのづから水の流れや花あやめ