まま事の飯もおさいも土筆かな
嫁菜飯都の客に炊がばや
学童の顔浸し居る春の川
仮住のなれぬ水仕や春浅き
烈風に花一房の落花かな
目の前に大きく降るよ春の雪
一むきに蕾ならびて辛夷かな
いつの間に風冷えて来し辛夷かな
蝌蚪一つ鼻杭にあて休みをり
黄つつじの紙の様なる花弁かな
風に揺るるげんげの花の畦づたひ
やはらかに萎えたる花やげんげ束
初午の炬燵にあたる祠守
芹の水次第に細き流れかな
沈丁の咲きはじめたる白さかな
流れ行く蝌蚪や再び横ころげ
尾を振って流され行くや蝌蚪一つ
芍薬の芽の延びんとす勢かな
菖蒲の芽枯葉の中におびただし
落つばきしてゐる上を仰ぎけり
花篝たきはじめたるところかな
金堂のほとりの水に菖蒲の芽
言問の出船の鐘や桜餅
咲ききりし白木蓮の揺ぎかな
庭つつじ蕾そろひて美しき