つれづれに衿かけ代へし風邪ごもり
休む間に早かげり来し冬日かな
戸を繰れば欅落葉の一しきり
物買へる我の後ろに寒念仏
風うけて蘆の枯葉や流れ行く
つき出でし枯蘆おさへ通りけり
鳩とんで屋根の落葉の舞ひ落ちぬ
下むきに咲きそる花や寒椿
寒鯉の緋きにつづく数多かな
水仙の花のうしろの蕾かな
頼家の墓にはやなき冬日かな
巌が根に向ひてかこむ焚火かな
すぐあとに日のさしてくる時雨かな
髪に手をあげて時雨の庭の子等
右銀杏左紅葉の落葉道
枯萩のまだ刈らずあり賑やかに
枯萩の丸まつてゐる葉ばかり
四阿や枯菖蒲田に影のびて
ひろびろとすずかけ落葉ひろがりぬ
遥かなる鈴かけ落葉吹かれ立つ
手をかける助炭のはじのよごれかな
結へある芒の横に焚火かな
燃えきりし焚火のそばに語りをる
霜柱ふみ荒されて真白に
こちこちと霜柱つく杖の音