和歌と俳句

時雨 しぐれ

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

也有
うどんやへ銭のふり込む時雨哉

也有
傘持て出たれば逢はぬしぐれ哉

也有
八景のうちふたつみつしぐれけり

蕪村
楠の根を静にぬらす時雨哉

蕪村
水ぎはもなくて古江のしぐれ哉

蕪村
禅林の廊下うれしきしぐれ哉

蕪村
榎時雨して浅間の煙余所に立つ

蕪村
目前をむかしに見する時雨哉

蕪村
時雨るゝや簔買ふ人のまことより

蕪村
釣人の情のこはさよ夕しぐれ

蕪村
鷺ぬれて鶴に日の照る時雨哉

蕪村
しぐるゝや鼠のわたる琴の上

蕪村
古傘の婆娑と月夜の時雨哉

蕪村
みのむしのぶらと世にふる時雨かな

蕪村
化けさうな傘かす寺の時雨かな

蕪村
しぐるゝや我も古人の夜に似たる

蕪村
簔笠の衣鉢つたへて時雨哉

蕪村
子を結ぶ竹に日くるゝしぐれ哉

暁台
一むらの烟はなれて行時雨

太祇
しぐるゝや筏の悼のさし急ぎ

太祇
御築地に見こす山辺やいく時雨

几董羽織着て出かゝる空の時雨かな

一茶
北しぐれ馬も故郷へ向て嘶く

一茶
切株の茸かたまる時雨哉

一茶
蕗の葉に酒飯くるむ時雨哉

一茶
むら時雨山から小僧ないて来ぬ

一茶
人のためしぐれておはす仏哉

一茶
鶏頭のつくねんとして時雨哉

一茶
綿玉のひそかにはぜる時雨哉

一茶
重箱の銭四五文や夕時雨