和歌と俳句

枯木

其かたち見ばや枯木の杖の長 芭蕉

真間寺や枯木の中の仁王門 子規

雲遅し枯木の宿の照り曇り 龍之介

月一つあるも怪しき枯木かな 碧梧桐

尾をしがみ風の枯木の小鳥かな 虚子

赤城山に真向の門の枯木かな 鬼城

放鳥の枯木にとまる日暮かな 石鼎

窓前に枯れし大樹や日々にみる 石鼎

枯木宿行燈静かに動きけり 泊雲

麦蒔きし畝つやつやと枯木宿 石鼎

山の襞争ひ落つる枯木かな 石鼎

朝な掃く禰宜や枯木の根幾条 泊雲

月の影池のまなかの枯木かな 石鼎

支へ木に生きて尚朽つ枯木かな 石鼎

枯蔦に葉尚つけ居る枯木かな 石鼎

箒置いてちりとりさがす枯木かな 石鼎

霰弾く屋根をしづめし枯木かな 石鼎

池に立ちゐし人や枯木に逢ひ去りし 青畝

大いなる月おそろしき枯木かな 茅舎

道埃どうと上るや枯木中 泊雲

掛かる月をゆる枝もなし枯木原 泊雲

緋の欅畳にあそび枯木宿 青畝

夕映えて夜の影持てる枯木かな 花蓑

夕鐘にさめてはねむる枯木かな 石鼎

風起る音を聞きつゝ枯木道 花蓑

曇り来てはるかにひろき枯木かな 石鼎