和歌と俳句

西山泊雲

烏啼く時舌赤く見ぬ棟の

窓口を除けて釣りたる干菜かな

風の月壁はなれとぶ干菜影

老の背ややをら揚げたる落葉籠

落葉焚く煙の中を人去来

枳殻垣の落葉しつくせし青さかな

枯蔦の垂れ端とざす氷かな

炭竃の火加減見るや地に伏して

風どうと土襲ひ嘗めし焚火

道埃どうと上るや枯木

掛かる月をゆる枝もなし枯木原

時雨払つて耀く星や枯柳

時雨星音はらはらと藪にあり

藪空の一処明かし時雨星

窓押すや藪のはざまの時雨星

粉雪いよゝ大降となりぬ蘆の花

干網に日ざせば狂ふ粉雪かな

空深く消え入る梢や雪月夜

干菜一聯吹きとばしたる吹雪かな

靄はれて畝々くろし麦を蒔く

木の股に据れる月や梟鳴く

二株の葉牡丹瑠璃の色違ひ