烏啼く時舌赤く見ぬ棟の霜
窓口を除けて釣りたる干菜かな
風の月壁はなれとぶ干菜影
老の背ややをら揚げたる落葉籠
落葉焚く煙の中を人去来
枳殻垣の落葉しつくせし青さかな
枯蔦の垂れ端とざす氷かな
炭竃の火加減見るや地に伏して
風どうと土襲ひ嘗めし焚火哉
道埃どうと上るや枯木中
掛かる月をゆる枝もなし枯木原
時雨払つて耀く星や枯柳
時雨星音はらはらと藪にあり
藪空の一処明かし時雨星
窓押すや藪のはざまの時雨星
粉雪いよゝ大降となりぬ蘆の花
干網に日ざせば狂ふ粉雪かな
空深く消え入る梢や雪月夜
干菜一聯吹きとばしたる吹雪かな
靄はれて畝々くろし麦を蒔く
木の股に据れる月や梟鳴く
二株の葉牡丹瑠璃の色違ひ