和歌と俳句

麦蒔き

鬼貫
麦蒔や妹が湯をまつ頬かぶり

野坡
麦まきや去年を泣日は惣休み

蕪村
麦蒔や百まで生る貌ばかり

蕪村
麦蒔の罔両長き夕日かな

白雄
畑中や種麦おろす麻ぶくろ

青蘿
蒔つけし夜より鶴鳴岡の麦

子規
麦蒔やたばねあへたる桑の枝

虚子
村の名も法隆寺なり麦を蒔く

鬼城
麦蒔や土くれ燃してあたたまる

鬼城
麦蒔いて一草もなき野面かな

鬼城
麦蒔きや西日に白き頬被

千樫
夕かけて麦蒔きをはり畑裾に立ちてながむるその夕畑を

千樫
わが父も眺め居るらし麦蒔きて土あらたなる畑の上の月

泊雲
犬なぶる烏面白し麦を蒔く

泊雲
麦蒔や児二人遊ぶ蓑の上

泊雲
麦蒔女泣く児に畝を走り来ぬ

泊雲
靄はれて畝々くろし麦を蒔く

泊雲
うすければ一手蒔きもどり麦の種

放哉
麦まいてしまひ風吹く日ばかり

素十
砲音のゆるがす土や麦を蒔く

みどり女
山近く山の日つよし麦を蒔く

素逝
麦を蒔くこぶしの下のとはの土

立子
寺辞せば浮世の道や麦まける

林火
麦蒔くや海流の縞に眼をやすめ

林火
光の輪運ぶごとくに麦蒔くひと

静塔
東海に播きたき麦を丘にまく

秋櫻子
阿蘇も暮れ麦蒔も野に暮れゆけり

青畝
麦を蒔く田人にやさし観世音