和歌と俳句

神無月 かんなづき

風寒し破れ障子の神無月 宗鑑

御留守居に申し置く也神無月 其角

鈴鹿よりあちらは白し神無月 支考

蜘の巣に禰宜がかゝるや神無月 也有

拍手もかれ行森や神無月 也有>

宗任に水仙見せよ神無月 蕪村

人顔も旅の昼間や神無月 太祇

一葉
神無月 しぐれてさむき 袖がきに なほ盛なる 白菊の花

空狭き都に住むや神無月 漱石

宮柱太しく立ちて神無月 虚子

晶子
日の後の ほの赤ばみや 神無月 ぬるでの森に 似たる夕雲

晶子
神無月 濃きくれなゐの 紐たるる 鶏頭の花 しらぎくの花

晶子
風通ふ なほ薄着して 背をゆがめ 髪上げわぶる わが神無月

啄木
神無月 岩手の山の 初雪の眉にせまりし朝を思ひぬ

茂吉
かみな月 五日に雪を かかむれる 鳥海のやま 月讀のやま

矢大臣の顔修繕や神無月 泊雲

葬人の野に曳くかげや神無月 蛇笏

山妻や髪たぼながに神無月 蛇笏

石室に大黒天や神無月 みどり女

真東に金の月出てかみなづき 石鼎

神無月畑の真中に出来し道 石鼎

神ながら巌ぞ立てり神無月 石鼎

龍田まで足の序や神無月 青畝

大根の青き頭や神無月 喜舟

この神のもと佛なり神無月 青畝

高き木の立並びけり神無月 青畝

たらちねとして日々潔し神無月 草田男

出雲路神有月の温泉あふれ 秋櫻子

椎の樹の雨はらはらと神無月 誓子

神棚の漆黒古りて神無月 秋櫻子

赤々と朝日卒壽の神無月 みどり女

群鳴いて鴉過ぎゆく神無月 みどり女

独活畑も川も失せけり神無月 波郷