和歌と俳句

原 石鼎

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山越えて日の渡り居る落葉

凩や富士を歪めて昼の空

木枯に日はありながら庵の木々

冬の日の杉の緑にふるゝ時

嘴の上の眉目や木菟の冬

木菟なくや月の大路に轍あと

山遠く映らぬ池や枯柳

葛城の雪は斑や枯柳

花枇杷に沈む日陽矢の長々と

青空に一さきの星や枇杷の花

枇杷の花ちりて大地の光りかな

たそがれていよいよ青し枯野空

夕暮れて富士おそろしき枯野

笹鳴のとぶ金色や夕日笹

焚火強し地を隔ててもゆる藁

煙空に星も思はぬ焚火かな

北方に北斗つらねし焚火かな

千鳥仰ぐ眉あはれしる焚火かな

夜焚火に焔落して神は嶺に

庭に干す蒲団の上や雪の富士

火花散りし炭火の綾も霜夜

光芒の中に星あり冬の月

天つ日と我とまつはる枯野かな

氷上や雲茜して暮れまとふ

氷上やわが口笛の哀しくて