和歌と俳句

高浜虚子

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芭蕉忌や遠く宗祇に遡る

帚あり即ちとつて落葉掃く

母と子の拾ふ手許に銀杏散る

の中一つの鴨を見てゐたり

枯れ果てしものの中なる藤袴

枯萩に添ひ立てば我幽かなり

枯芭蕉棒もたしかけありにけり

彼女いづこにありや焚火の傍に在り

ストーヴの焔のもつれ見てゐたり

古綿子著のみ著のまま鹿島立

上海のるる波止場後にせり

霙れゐる苦力みな手をこまねけり

雪の暮茶の時頼に句の常世

噴水の氷柱縺れてからみをり